この記事はこの記事の続きでございますので、未読の方はまずそちらからお願いいたします。
ということで前に書いた、MCU作品を観ておもったことの続きを書いていきます。今回はフェーズ2ですね。それではさっそくやっていきましょう。
※そんなにネタバレをしてはいないつもりですが、たぶんしていますので、そのへんは割り切っていただけるとありがたいです
7.アイアンマン3(2013年)
詳しくはこちら(今回も映画.comのリンクを無心で貼っていきます)。
フェーズ2の始まりということで、『アベンジャーズ』というひと集大成があった直後に連なる作品です。たくさんのヒーローが出てくるMCU作品の中でも中心人物であるアイアンマンをもってくるのは、妥当なところだと思います。
いきなり単独作品になってますが、けっこうほんとに『アベンジャーズ』の続きだなーって印象です。それと、アイアンマン三部作をまとめることを両立しようとしていて、しかもできてる! みたいな感じです。僕は個人的にトニー・スタークにあまり感情移入できないので、どうしても少し引いて見てしまうんですが、ちゃんとアイアンマンがアイアンマンになる映画なんだなーと思いました。
また、もともとトニー・スタークが軍事会社のトップだったこともあって、ヒーローの力をどう管理するか? みたいなテーマがシリーズにあったんですが、これもしっかり動き出していてよいです。
なにより特徴的なのは、アイアンマン3というよりアイアンマンズだろと思ってしまうほどのクライマックスなのですが、このへんのやりすぎっぷりが今後の方針として見えてきて、個人的にはそっちなんだよねーと納得しつつもちょっと乗れない感じはありました。どういうことかというと、前の記事でも書いたみたいに、MCUは科学技術寄りのヒーローと超自然的寄りなヒーローがいて、アイアンマンは前者なわけです。この二つがいい感じのバランスを取っていくために、今回その科学技術がめちゃくちゃインフレしたと思います。
もちろんこれは『アベンジャーズ』の敵の襲来を受けて起こった進歩とも取れてわかるんですが、その粋がトニー・スタークという個人にあるのがなんとも。そのへんが「できちゃうんです」で終わっちゃうんですよね。いいんですけど。そのあっさりが僕はちょっと残念かなあ。
ということで単体としてもシリーズとしても80点くらいだと思います。
8.マイティ・ソー ダークワールド(2013年)
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タイトルを見ればわかる通り『マイティ・ソー』の続編です。神サイドのヒーローなだけあって、今回もスケールが宇宙的です。ヒロインのジェーンになにやら超人的な力がやどったり、さらなる宇宙大戦があったり、とにかくスケールがでかいです。
でかいので、なんというか、いろいろガバガバです・・・
なんかね、宇宙の危機みたいなのはわかるんですよ。こう、天体が一列に揃っちゃうとやばいみたいな。このスケールね。そのへんがすっごいガバガバ説明かましてくるんですよ。そんでガバガバ理論で地球のいろんなところに杭を打ったりするんです。しかもこの理論をまくしたてるのが、『アベンジャーズ』のせいでちょっと狂ってしまった博士で、ほぼ全裸で奇行に走ったりするんですね。緊張感がない・・・
ありていに言ってしまえばスケールのデカさだけが伝わってくる浅い物語ってことになっちゃうんですが、前作の敵で今回も大きく立ち回るロキの動きがよいので退屈はしません。退屈はしないのですが、ストーリーはほんとよくある展開の連続なので、ふーんって見ちゃう感じです。
今回は科学技術側のヒーローがほとんど活躍しないので、神サイドの話としてそんなにバランスに気を配る必要もなくもうちょっと緻密にできたんじゃないの、と、他の作品と比べても思っちゃうような出来栄えだなあというのが本音です。単体として見てもストーリーとして見ても65点くらいです。
9.キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー(2014年)
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キャプテン・アメリカものの2作目です。キャプテン・アメリカはその真面目な性格ゆえ、S.H.I.E.L.D.に従順なこともあって、ほかの組織とのからみもたくさん出てきます。とくに今回はブラック・ウィドウも主演級の見せ場があります。
これはめちゃくちゃおもしろいです。
ありがちな話なのかもしれませんが、味方が敵に侵食されていて、なんとか倒して立て直すって話です。ただ、その敵が今までのシリーズでちらちら出ていた「ヒドラ」の残党ですし、さらには時系列的には50年以上前になる前作で死んだと思われていた人物がキーマンとして立ちふさがりますし、何よりプロットの緊張感がすばらしいです。
キャラたちのアクションもスタイリッシュですし、シリーズを担う一作として素晴らしく機能していますし、なんだこれ、全く文句のつけようがない映画じゃないか! とぞくぞくしながら鑑賞しました。そしてその後おもいました。
これ、ヒーロー、地味だな・・・
そう、キャプテン・アメリカは地味なのです。わかっていたことなんですが。鑑賞前、妻は「フリスビーおじさん」とバカにしていました(ただ、鑑賞後は夫婦そろって推しヒーローになりました)。強いんだけど、地味。もうこればっかりは仕方がない。だって人間の身長をしているヒーローが、自分の力とそこまで大きいわけでもない盾だけで戦うんだもの。
これは特にマイティー・ソーに言えてしまうことなんですが、すごいパワーというのは見栄えがするので、わりと大味でも物語ができちゃうんじゃないかと思っています。そういうのがキャプテン・アメリカではできない。その頑張りがこうして面白いエンタメ作品になってくれたんだと思っています。
なので、こうも思うんです。この面白さはMCUの面白さの本質ではないよな、と。
どうしてもこの作品、人間寄りのやつらしかでてきません。それはたぶん、この緊迫した物語に超自然的なもの、持ち込みにくかったんじゃないのかなと思います(全くないわけじゃないですが)。
ということで、単体で見たら95点ですが、シリーズとして見たら85点くらいなのかなーという感じです。お気に入りの一本です。
10.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年)
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ついに完全な宇宙ものが放り込まれました。マイティ・ソーシリーズで描かれていた宇宙のスケールそのものが舞台となっており、CGを多用した映像が今までとは一線を画する雰囲気になっています。マイティ・ソーではちょっとダサかった感じの宇宙の描写も、良い感じに異形でセンスがあったと思います。
また、今までの作品がシリアスの中にユーモアの混じるトーンだったのが、一気にコメディタッチに。70’s洋楽をふんだんに使いながら軽快でおバカな進行の連発。なにげに今まではちゃんとやってなかった、チームものとしてのヒーローの描き方。なんとなく今までの作風に飽きてきた人からすれば、こ、これだー! ってなるんじゃないでしょうか。
個人的にもすごく楽しめる名作だな~とおもいつつ、これ、MCU作品じゃなかったほうがよかったかなあみたいなことを感じました。
なんというか、雰囲気が違いすぎるんです。
や、これだけ長いシリーズですからバラエティに富むべきだというのは分かります。ずっと個人ヒーローの王道をやられると困るのは困るんです。だし、話もちゃんと面白いんです。面白いかな。演出はまちがいなくよいのでそれが話を面白く見せていたことは間違いないです。
不満だったのは、「人が死ぬライン」が違うところなのかなとおもいます。シリアスな漫画とギャグ漫画って、人が死ぬラインが違いますよね。そのラインは、シリーズで同じものを持っておいてほしかったなという気持ちです。やっぱりどこか、それで死なないんだ、とか、それで死ぬんだ、という感情は抱きっぱなしでした。
なので、単体でみたら85点くらいなのは承知ですし、けっこう評価の高い作品だとも思っているんですけど、シリーズで見たら65点くらいになっちゃうんだよな~とは感じています。
11.アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン(2015年)
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ついに「アベンジャーズ」の名前を冠する続編が出てきました。ということで今回もヒーロー勢ぞろいです。楽しいですね。
話としては、今まで敵役を担っていたヒドラの残党をやっつけるという筋と、AIの力で世界を守ろうとしたらそいつが反逆しちゃったという筋で世界が危機に陥る感じです。
なんだろうなあ・・・面白いは確かに面白いです。
思い返せば、ミクロな面白さがたくさんあります。冒頭のチームアクションだったり、ブラック・ウィドウとホークアイの関係だったり、敵の双子は少々拍子抜けなところもありましたがクライマックスの輝きだったり、ソコヴィア浮遊の景だったり。
しかも、ストーリーもちゃんと筋が通っていて、アベンジャーズらしいスケールもある。こう書くと文句なしの満点映画のはずなんだけどなあ、というものがあります。なんだろうねこれ。
たぶん、この映画、アベンジャーズたちのミクロな関係を書くのは上手なんですけど、チーム全体を書くのが下手だったんじゃないでしょうか。
その危惧は、『アベンジャーズ』のころからありました。こいつら、一丸となって感はそんなにないんですよね。で、個性があふれまくっているから一丸となる必要もなくって、でもなんかチームはやりたがっているっていうか、その辺の何とも言えなさが、だったら次回作では団結の方にいくのかな? って思わせておいて、おんなじくらいの距離感で戦ってるなあ、って感じです。そこに進歩がないから、なんか同じことしてる印象なんです。
それがダメとは思わないんですけどね。ただ、チームをやりたがってるわりにうまくいってないような感じが伝わってきます。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』では少なくともその辺は成功していたわけで、こっちではできないのかなあというのが残念なところではあります。
ということで、単体では75点、シリーズで見たらさすがに80点という感じの作品です。
12.アントマン(2015年)
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新しい単体作品をもってフェーズ2は終了です。大きな物語は前作のエイジオブウルトロンでまとまっていて、次につながるエピローグみたいな位置づけですね。
感想ですが、これよこれこれ!です。面白いです。
小さくなって戦うというこれまでとスケール感の異なるヒーロー像もさることながら、コメディタッチの作風がとても面白いです。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に連なる軽さをもっていて、あの時感じたリアリティラインのズレはありません。そう、ここを守ってコメディをしてほしかったんだ僕はととてもうれしくなりました。
なによりマイケル・ペーニャがやってる友人がめちゃめちゃ面白いですね・・・マイケル・ペーニャほんとすごいですよね。『オデッセイ』でも『クラッシュ』でもユーモアをがっつり持ち込めるの。『ミリオンダラー・ベイビー』は観てないのでわかんないですが。
アントマンはスーツの力で小さくなっていて、トンデモ粒子の力を借りてはおりますが科学技術寄りのヒーローです。ただ、この面白さっていうのは、アイアンマンシリーズをはじめとした科学技術ヒーローのインフレが下敷きにあるからのような気がしています。しっかりとMCU作品の王道の世界観にのっかりつつ、まだ表れていなかったニッチの領域をやってのけたという点で、名作ではないかと。
小さくなって戦っているので、アクションの演出も今までと違ったものをたくさん見られて満足です。ということで単体としてもシリーズとしても90点です。いい映画です。
フェーズ2は以上です。次のフェーズ3が長いんで、頑張ろうと思います。
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