MCU作品 観ておもったこと フェーズ1

2021/05/16

映画

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昨年はコロナ禍だった(今もそうか)ので、これまであんまりやってこなかった映画鑑賞というものをどっぷりやるようになりました。主にレンタルですけど。

となるとながーいシリーズものも追いかけられるわけで、半年くらいかけてマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品を全部観ました。ので、おもったことを書きます。とりあえず、フェーズ1と呼ばれている作品群から。

MCU作品といえば、いろんなヒーローが同じ世界線で活躍するのがウリなわけで、僕もそこをすごく期待してました。だって、ヒーローごとに世界観が違うわけで、それをある程度公平に活躍させようと思ったら、パワーバランスの調整が大変だろうな~と感じていたので。なので、そんな文脈での感想になると思います。ではさっそく。


※そんなにネタバレをしてはいないつもりですが、たぶんしていますので、そのへんは割り切っていただけるとありがたいです


1.アイアンマン(2008年)

詳しくはこちら。(ひたすら映画.comのリンクを貼っていきます)

MCUの要となるヒーロー、アイアンマンの誕生を描きます。

感想ですが、ザ・王道 です。ほんとこれに尽きる。

ヒーローが誕生するきっかけがあって、敵があって、ヒーローとして活躍するきっかけがあって、葛藤とかもあって、みたいな。ストーリー運び、そうだよね~って感じです。いままで見てきたヒーローものの感じだなーって。なので当然、普通に面白かったです。

ただ、バットマンにしろスパイダーマンにしろ、中の人は正体を隠すのがヒーローものの常なんじゃないかと僕は思っていたわけですが、そのへんがアイアンマンの新しい(新しい? かどうかはわかんないですが、潔い)とこだったのではなかろうか、と思ったりはしました。

あとなんか、中の人ことトニー・スタークにそんなに共感できないっていうのもへーって感じです。だってよくわからんけどめちゃ頭よくて開発力が異次元で、プライドも高ければ物言いも偉そうで、ねえ? ぶっちゃけちょっとうざいんですけど、話運びのなかでがんばってくれ~と思えたのでそこはよいです。

ただ、今後いろんなヒーローが出てくる中で、アイアンマンは科学技術のヒーローなんだな、という実感はしっかり持ちました。科学技術っていっても「やべー物質」を使って「やべー開発」をしたら「やべー兵器」ができているかんじなので、まったく人間の努力とかそういうものは感じられないんですが、とりあえず超常現象ではないよと、そのスタンスで行くよというのをしっかり受け取った映画でした。MCUにおいて僕が一番気になっているのはこのスタンスなので、ここはちゃんと書いておきたいのでした。

あ、主人公が兵器会社のトップというのはなるほど~だったかもです。もちろん戦うんですけど。敵の使っている兵器、ウチ製じゃーん、みたいな。そのへんはよかったな。ただこう、だからこそ、適切な人に軍事力を持たせなければ、みたいなメッセージを感じて、反戦的ではなかったんですが、まあ戦うヒーローものだからしかたがありません。

いちおう点数つけときましょうかね。どうしようかな。M-1の一組目あるあるで85点にしましょう。アイアンマン、85点です。面白かったです。


2.インクレディブル・ハルク(2008年)

詳しくはこちら

お次のヒーローは緑のジャイアントモンスター、ハルク。日本公開はこっちのほうがちょっと先だったとか。単体もののわりには続編も出ておらず、そもそも次回作以降のハルクは俳優さんが変わってしまっていたりと(それをいうならローズ大佐も最初だけ違う俳優さんですが)、なんだかパッとしない印象です。実際、そんなに人気がある作品というわけでもなさそうです・・・

ということで期待しないで見たのですが、ぜんぜん、ふつうに面白かったです。オープニングのキャスト紹介に合わせてハルク誕生の経緯をダイジェストしたのは笑っちゃいましたけれど。

『アイアンマン』と違って、自分の能力を制御できないタイプのヒーローです。怒って心拍数が上がっちゃうと変身して暴走するわけですし。でも中の人のバナー博士は超インテリということで、知性と野性をどうしていくか、みたいな主人公の葛藤はよくわかりました。

また敵役が、体に衰えを感じてきていてとにかく強くなりたいぞという執着を見せているやつなので、力だけはあるけど困ってます状態のハルクに対していいぶつけ方だったんじゃないかなあ。ほんとふつうに楽しめました。まあ、暗いといえば暗いですが。

このハルクも、パワー自体は超人的ですが、あくまで特殊な放射線を大量に浴びたことでなってしまった、という、人間寄りの能力解釈だったので、『アイアンマン』とのつながりはラストにちょろっとあるだけでほぼありませんが、おっ、同じ世界観だな~と感じることができました。これは◎。作中でアイアンマンとハルクが戦ってはいませんが、戦ったらいい勝負しそうだな~みたいな、パワーバランスを予想することができたので結構好印象です。

それでも確かにプロットの面白さなんかは『アイアンマン』のほうがよかったかなという気持ちです。でも面白いです、みたいな。75点くらいです。


3.アイアンマン2(2010年)

詳細はこちら。さっそく『アイアンマン』の続編です。ヒーローとしては、女スパイのブラック・ウィドウの初登場作ということになります。あと、前作から出ていたローズ大佐がちゃんとヒーローし出す作品でもあるのか。

これはねえ・・・あんまりおもしろくなかったです。ありゃーって感じでした。

話は完全に『アイアンマン』の続きで、『インクレディブル・ハルク』を引きずりません。トニー・スタークが自分の正体を隠さないものですから、国防と私兵のバッティングが起きている、みたいな筋書きはMCU世界観としてけっこうリアルで、いいなーと思いながら観てはいました。ヒーローも管理しないとな~というのは後々もあるテーマですし、今作のアイアンマンの成長はその文脈にのっとっていると思います。そのへん、思い返せばシリーズを構成していく上では重要かつ矛盾のないプロットの組み立てだったんだなあとは。

じゃあなにがいけなかったかというと、敵役がなんか、しょぼかったんです・・・

冒頭、技術者としてスターク社に恨みを持っている人の息子が父親の意思を継いで復讐をするぞ、そしてそのための技術は盗み出していたぞ、みたいな、「今回こんな話ですよ」ってのをけっこうしっかり示してまして、だからこそ「あ~王道的にはこれくらい盛り上がるだろうな」って予感があったんですよね。

それを、下回っちゃったなあ、というのが正直な感想です。

後から思えば重要キャラもしっかりここで布石を打って、そもそもこのころのアイアンマンはまだ体にエネルギー源が埋め込まれていて命の危機とともに戦ってたわけで、そのへんも丁寧にさわったりもしてたんですが。単体的には竜頭蛇尾なところが否めない話だと思います。ということでこれは60点です。でも『インクレディブル・ハルク』よりは、シリーズ理解のためには観るべきなんですよねえ。


4.マイティ・ソー(2011年)

詳細はこちら。いよいよ期待作の登場です。

なぜに期待作かというと、ソーはアイアンマン・ハルクと明確に違うタイプのヒーローだからです。宇宙のかなた、アズガルドの神の子。神の子ですわ。明らかに人間寄りではありません。とりあえず「宇宙寄り」ということにしますが、MCUがどうやって「人間寄り」と「宇宙寄り」のバランスを取っていくのかというのが、とにかく気になるところでした。

結論から言えば、その辺はめっちゃ満足しました。単体の話としてはまあ、普通かな、くらいです。

ソーが神の子失格として地球に追放されてしまって、でもアズガルドでは争いも起こってて、というふうに、地球ではパワーを失ってしまっているけど宇宙のほうはなんかわからんがすごい大戦が起きとるな、というプロットです。となると、神の力を持っているソーが地球で無双できるわけではないんですね。逆に、シリーズですでに登場しているS.H.I.E.L.D.(簡単にいえばヒーロー管理課です)が優位くらいの感じがあります。こういう導入にすることで、ちゃんと「地球の話」と「宇宙の話」、繋げますよ的な作り手の気概を感じました。とにかくここがよかった。

あと、ソーの成長譚としてもちゃんとしてたんじゃないかなと思います。だからこそ、フェーズ3のあれで僕は「違うやろ~」と思ったわけですが・・・それはそのときに。とにかく、これからMCUとしてこのスケールでやっていきますよ、を丁寧にワンクッションおいてもらっている、そんな印象を覚えました。たしかにこれ見なくてもいいっちゃいいんですが、『アイアンマン』から『アベンジャーズ』にすぐ行っちゃうと、そこの落差ってでっかいんじゃないかなあ。

そういうわけでMCUにはなくてはならない作品だと思っているんですが、繰り返しますが話がそんなにいいわけではありません。いや、話は普通に王道路線だしいいのか。なんか、こう、神の国アズガルドのお城の中が、ちょっと、ダサいんですよね・・・作り物すぎるというか。端的にちょっとしょぼいです。フィクションの中のリアリティみたいなのがなー。言葉にしづらいんですが。地球側のほうが洗練されてるんですよ。そこは終始気になってました。

単体だと70点、シリーズで見たら80点、って感じです。この、単体とシリーズとでつける点数が変わっちゃうというのがMCU作品における僕の思っていることで、できれば後者を大事にしていただきたいんですが、難しいよねえ、と思います。


5.キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011年)

詳細はこちら。時系列的には一番最初の話となります。第二次世界大戦あたりです。

今作で初登場のキャプテンアメリカ、ヒーローの理屈としてはひ弱だった青年が薬の実験で強くなったというもので、ハルクに近いものがありますが、人間寄りのヒーローということでいいでしょう。とにかく思うのは、ステロタイプのヒーローをやり切った、ということです。みんなのために力を振り絞る、みたいな。アイアンマンもソーもちょっと自分本位なところがあり、ハルクはそもそも自己制御が大変な中で、正統派ヒーローがようやくでてきたなあという印象です。それが古き時代の話というのもまた面白いものです。

また、敵役としてあきらかにナチスがモデルの組織「ヒドラ」が登場し、これが今後のプロットに重要になっていくという意味でも、要となる話だと思います。この「ヒドラ」が、宇宙寄りの技術を手に入れているというのも話のいい盛り上げになっていると思います。

以上。って感じです。

こうやって書けば見どころもありますし、重要キャラもとにかく登場しているわけですが、めちゃめちゃ地味な一作になっていると思います。キャプテンアメリカ自体、かっこいいですがほかのヒーローに比べるとミニマムな動きをするため、スケール感としてこじんまりとしてしまうことは否めないかなあと。

MCU作品は主役となるヒーローがたくさんいる中で、主役の主役というとまずアイアンマン、そしてキャプテンアメリカ、くらいになってくるわけですが、キャプテンアメリカを一番にもってこなかったことは、成功だったと思います。あまりにステロタイプなヒーローなので。とはいえこのポジションにいると観ていて楽しい。すごくきれいな心を持っているので、トニー・スタークなんかより感情移入できるんですが、やや脇役的。本作は「キャプテンアメリカだけ」が主人公の映画であり、今後の作品を観ていくと、この思いがどんどん強くなってきます。

ということで、単体としてもシリーズとしても75点くらいです。


6.アベンジャーズ(2012年)

詳細はこちら。やっとですよ。そもそも「アベンジャーズ観るか~」って思って調べたらこんなにたくさんあった身としてはようやくの回でした。

ざっくり話をまとめると、アイアンマンとキャプテンアメリカとソーとブラックウィドウとハルク(とホークアイ)が、宇宙と戦う話です。『マイティ・ソー』でやった、地球と宇宙をくっつけますよ、をちゃんとやった、って感じの作品です。

おもしろい、です。すごくおもしろかった。各ヒーローにきっちり見せ場がある。敵役は『マイティ・ソー』から引き続きロキさんがやってきますがこのいい感じの小物臭もブレてない。また、いきなりこんな個性強めのヒーローたちが集まっても協力せんやろ、という感じもしっかり書いているし、それに対する各ヒーローのスタンスもよくわかる~って感じです。

そしてここにきてみんなが横並びで戦うわけなので、パワーバランスの描写から逃げることができなくなるわけですが、これがいい意味で不公平だった。やっぱりソーは強いんです。アイアンマンもハルクも強いけどそこには差があるっぽい。キャプテンアメリカはさらにそのへんに追いつこうとがんばったらがんばれるくらいだなってのがわかる。ブラックウィドウたちはやっぱそこにはいかない。でも、それぞれの力が開きすぎているわけでもなく、そのへんが結構自然に感じられる。その見せ方には本当に感心しました。ふつうに彼らの活躍に納得できたのがよくって、というかそれが微妙だったらこの続き見なかったと思うんですけど、とにかく観てよかったなとなりました。

一つしっくりこなかったのは、ヒーローたちが結束するにあたってある人物の死が契機となっている、ように見えるんですが、いやそういうことなんですが、なんかそこが「ように見える」止まりだったというか、そういう結び付けなの? って感じはありました。だったらベタでももうちょっとドラマチックにやったほうがいいような。でもよかったな。話単体で80点、シリーズで90点くらいです。

これでフェーズ1は終わりです。期待していた「地球と宇宙」の話の組み立てについて、楽しく鑑賞できたので満足しておりました。いずれフェーズ2の話もしようと思います。





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